琵琶といえば”耳なし芳一” → ”平家物語”という図式を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか?
琵琶にはいくつかの種類がありますが、平家物語を専門に語る「平家琵琶」もある程、琵琶と平家物語は切っても切れない関係にあります。
坂田美子も平家物語を題材としたものもいくつかレパートリーに持っております。ここではそのいくつかをご紹介します。
「祗園精舎」 (ぎおんしょうじゃ)
坂田美子 作曲
もっとも有名な冒頭の部分をとり出して作曲したもの。
平家物語全体をつらぬく無常観が凝縮されている。
【演奏形態】
○ 独奏 (約5分)
○ 尺八との二重奏 (約12分) CD「琵琶うたものがたり」収曲
○ 筑前琵琶・尺八・ウードとの四重奏 (約15分)
「扇の的」 (おおぎのまと)
田中濤外 作詞 / 坂田美子 編曲
屋島の戦いのとき、義経の命をうけた弓の名手那須与一が、舟上の揺れる扇を陸からみごとに射落とした、という有名な物語である。
【演奏形態】
○ 独奏のみ (約13分) CD「琵琶うたものがたり」収曲
「敦盛」 (あつもり)
坂田美子 編曲
一の谷の戦に敗れ、海に逃れようとした平敦盛を呼び返し、首を取ろうとした源氏の大将熊谷次郎直実は、我が子と同じくらいの若さにあわれを感じ、命を助けようとする。
しかし折りしも源氏の軍勢が押し寄せ、やむなくその首を取らざるを得なくなった。このことがあって後、直実は仏道に入り、敦盛の菩提を弔って暮らしたという。
【演奏形態】
○ 独奏 (約17分)
○ 横笛との二重奏 (約18分)
○ 尺八・筝・打楽器との四重奏 (約12分)
○ 尺八・筝・打楽器・キーボードとの五重奏 (約11分) CD「七つの海」 収曲
※敦盛は笛の名手としても有名です。愛用していた小枝(さえだ))の笛をテーマにした
「小枝の笛」のくだりの語りを前段につけて演奏すると、より物語に深みが出ます。
「春麗無常 ~祗王のくだり~ 」 (しゅんれいむじょう)
小川夏葉 作詞 / 坂田美子 作曲
平家物語の中でも有名な祇王の物語。清盛の寵愛を一身に受けた白拍子の祇王。しかし、3年もすると清盛は年若い白拍子の仏御前に心を移してしまう。
母と妹とともに嵯峨野の奥に引きこもった祇王は、わずか21歳という若さで尼となる。そして、世の移ろいを目の当たりにした仏御前もまた、程なく自ら尼となって清盛のもとを去る。
その後、祇王とともに嵯峨野に引きこもり、後生を願って暮らしたという。
萌え出づるも 枯るるも同じ 野辺の草
いずれか秋に あわではつべき (祇王)
【演奏形態】
○ 独奏 (約20分)
○ 笛・鼓との三重奏 (約22分)
「知章最期」 (ともあきらさいご)
平家物語 原文 / 坂田美子 作曲
”平家物語を一語一句変えずに一章段語る”ということでDVD(ハゴロモより出版予定)の為に作曲された作品。
「見るべき程のことは見つ」という有名な言葉を残して入水した平知盛の息子・知章。父の目の前で、父を助ける為に敵に討たれた若き武将。
その最期の場面を中心に語られる一章段。
【演奏形態】
○ 独奏のみ (約25分)
「横笛」 (よこぶえ)
栃木惟考 作詞 / 坂田美子 作曲 / 坂田梁山 編曲
平重盛に仕える斉藤瀧口時頼は、建礼門院に仕える横笛を深く愛し、横笛もまた時頼に恋していた。
しかし、身分の違いから二人の間は裂かれ、時よりは仏道に入る。ある春の夕暮れ、瀧口入道をたずね横笛が訪れるが、瀧口は強い決心のもとに横笛に会わずに帰す。
やがて横笛も瀧口と同じく仏道に入るが、深い悲しみを消しやらず、ついにはかなく亡くなったという悲恋の物語。
【演奏形態】
○ 横笛との二重奏のみ (約12分)
「大原御幸」 (おおはらごこう)
坂田美子 作詞 / 坂田美子・稲葉美和 作曲
平清盛の娘として栄華を極めた建礼門院も平家滅亡後は大原の奥に移り住む。ある日、その侘び住まいを後白河法皇が訪れる。
初夏をむかえ種々の花々に彩られた寂光院での華やかな一場面を雅やかな筝の音と共に表現した曲。
【演奏形態】
○ 筝との二重奏のみ (約12分)
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